前々回コラムの「初めての確定拠出年金 401kってなんだ?」では、私が以前働いていた会社で企業型の確定拠出年金を始めたお話、前回コラムの「分からないことだらけの確定拠出年金の移換手続き」ではその会社を退職して個人型の確定拠出年金に切り替えた時のお話をしました。

最終回は、ファイナンシャルプランナーになった今、以前の自分がわからなかったことについて解説をしていきたいと思います。

確定拠出年金は年金準備のための制度です

最初からそういう名前ですよね、という話ですが、確定拠出年金は老後の年金を準備するものです。

企業型をDC、個人型をiDeCo(イデコ)と呼んだりします。

私がイメージしていたものと違った点は、「確定拠出年金は原則60歳まで引き出せない、解約できない」ということでした。

他に老後の年金を準備する方法として、財形貯蓄や個人年金保険などもあります。それらは様々なデメリットを伴いますが、途中でもお金を引き出すことができます。

ところが確定拠出年金は60歳までお金を引き出すことはできないので、もしも途中でマイホーム購入の頭金や教育資金などにまとまったお金が必要になったとしても、確定拠出年金から捻出することはできません。

逆に言うと、その制度のおかげで老後の資金がしっかり準備できるのです。

ですから、今の生活が経済的に苦しくならないよう、未来の自分の生活を守るための掛金はいくらにしたらよいか、しっかり考える必要があります。

ちなみに当時の私の場合、会社から掛金を3,000円出していただいていたので、私個人も3,000円を拠出できるはずでした。

当時のお給料のうち、3,000円を老後の準備にまわしても、生活を圧迫することはありません。自分で掛け金を出さなかったなんて、なんてもったいないことをしてしまったのでしょう!

投資はギャンブル?

私が確定拠出年金についてよくわからないまま時間が過ぎ、元本確保型の商品のみで確定拠出年金に加入していた理由は一つです。

投資の知識が全くなく、運用はギャンブルに近いもののように思って怖かったからです。

もちろん、あてずっぽうにやれば見当違いな結果になるかもしれませんが、少し知識を得れば、投資はギャンブルとは全く違うことがわかります。

みなさん、ご自分が社長になったとイメージしてみてください。


事業拡大の一環として、新入社員を採用します。

「先行投資だ」として、まだ十分に売り上げを立てることができない新入社員に毎月の給料を支払い、研修を受けさせ、教育を続け、成果に一喜一憂しながら時間をかけて育て、やがて立派な社員として大きく成長し、会社に利益をもたらすようになる。

「投資」は正に、それと同じようなことなのです。

少しの知識、まずは投資の基本である「長期・分散・積立」を知ってほしいと思います。

口座管理などに手数料がかかります

確定拠出年金は加入時や毎月の口座管理に手数料がかかります。

また、投資信託の運用にも手数料がかかります。

当時の私には、手数料を支払ってまで確定拠出年金に加入する意味が分かりませんでした。

それはそうです。

私がやっていたように、手数料を払って、運用益がほとんど出ない元本確保型の保険商品のみを購入するなら、普通に年金保険に加入するべきです。

確定拠出年金で元本確保型の商品を選ぶのは、それにふさわしいタイミングがありますし、若くて60歳までまだまだ時間があるときは、やはり運用益を考えた商品を選び、資産を育てたほうが良かったと思います。

さらに、企業型に加入していた時は、手数料を会社が負担してくれていました。

その恩恵を最大限に活用できなかったのは、本当に残念なことでした。

確定拠出年金で、大きな税金のメリットを受けられます

当時、私自身は全く意識していなかったことですが、確定拠出年金の掛金は全額が所得控除の対象になります。

年末頃に控除証明書が送られてきて、年末調整や確定申告の時に使えるのです。

その時に控除できる金額が、「掛金全額」ですので、還付の金額に大きく影響を与えます。また、運用益が出ても、課税されません。

このメリットの大きさを知れば、気になっていた「口座管理手数料」は、気にする必要がないものだと気づくと思います。

会社を退職したときの手続き

企業型の確定拠出年金に加入していた場合、会社を退職した時に手続をする必要があります。

私の場合、退職後は無職でしたので、個人型の確定拠出年金に加入する必要がありました。

その手続期限が6か月です。期限内に手続きをしないと、「自動移喚」といって国民年金基金連合会へ資産が移されてしまいます。

自動移喚されると、運用はできず、管理手数料がどんどん引かれて資産が徐々に減ってしまいます。

企業型から個人型に変える時は、運用会社を変えるには良いタイミングでした。

しかし私は前回のコラムでお話した通り、変えることができませんでした。今のままで良いのかどうか、他に良い会社があるのかどうかもわかりません。

運用会社の比較の仕方がわからなかったからです。

もう少し比較サイトなどを見て、考えてみるべきだったと思います。

自分でつくる未来のお金のこと、今考えてみませんか?

私自身は投資はギャンブルではないと知ってから、投資はお金を育てることだと知ってから、確定拠出年金が楽しみなものになりました。

商品も数多くありますが、年齢や性格によって、あるいは人生のタイミングによって、合う商品があるのです。

みなさんは「国の年金、もらえるのかどうか心配だ」と思っていますか?

であるならば、「自分でつくる未来のお金」のこと、是非考えてみてください。

私の場合は、考えるタイミングはいつも、「それどころじゃない」状態の時でした。
就職時も退職時も、遠い未来を考える余裕が、全くありませんでした。

日々落ち着いている状態の時にこそ、ゆっくりと考えてみてほしいと思います。