職業訓練校の生徒さんは、求職中の方ですし、それなりに事情をかかえてらっしゃる方も多いです。
その中の一人、Aさんは比較的大変な人生を歩んでこられた方のようです。
初日の休憩時間中、生徒さん同士での会話が聞こえました。
なんてことでしょう・・。
ここはFP資格の勉強のための教室です。
投機と投資は違うということ
私はみなさんに
投機(自分が儲けるためのもの)
と
投資(今使わないお金を今必要としている人にまわして頑張ってもらい、後にみんなで分け合うもの)
の違いのお話をしました。
そして、今勉強しているファイナンシャルプランナーの仕事は、お客様が思い描く未来を実現するために、経済的な面からサポートする仕事、お金の面から整えるお手伝いをする仕事なので、生活に必要なお金を投機で準備する話をするべきではないのでは、というお話をしました。
自信がなく自己肯定感が低いAさんの大きな変化
Aさんの第一印象は、いつもうつむき加減で顔色が暗く、自信がなく自己肯定感が低い様子です。
毎日泣いていますし、私が来る前の講義でも、入校面談の日も泣いていたそうです。
自宅でもいつもイライラしているそうです。
ある時間にみなさんに「自責」と「他責」の話をしました。
なにかあったときに、自分の責任にするか、他人や環境、まわりのせいにするのか。
自分の責任にしている人は成長する。
またある時間には、自信がつくには勉強するしかない、頑張るしかないんです。という話もしました。
Aさんはわざわざ私に
「先生、私今まで周りのせいにしてばっかりいました」
と言いに来てくれました。
そして確認テストの日の朝
「昨日の夜勉強してたんですよ。先生が、頑張れば自信がついてくるって言ってたの、少しわかるような気がしました。それに、子どもが“お母さん疲れてない?大丈夫?”って優しくしてくれて、違う子みたいになって!」
と教えてくれました。
2~3日で、すごい変化です。そう話す表情も、見違えるほど明るい。
確認テストは残念ながら赤点でしたが・・
確認テストは残念ながら赤点で、再試験でした。
でも事務局に「もう一回でした~」って報告に行った様子があまりにも明るくて、事務局の人もびっくり。
翌日Aさんは「私再試験でよかったです。間違えた問題をもう一回やるのってすごくいいですね。偶然合格しちゃったら、私きっと放置します。本試験のことを考えたら、このほうがいいや」と話します。
発想がとても前向きになりました。
そしてAさん、泣かなくなっています。
事務局の方も
「Aさんがそんなことを言うようになるなんて!!なんか、点数じゃないですね」と感激の様子。
もちろん、ちゃんと点数を取れるようになって、資格を取得して就職していただかなければいけないのですが。でもそれまでの過程でも、素晴らしいものが生まれますね。
「大人の学校」って素晴らしい!
と思うとともに、FPとして、もっと多くの人にお金の大切なことを伝えていかなくてはいけないと痛感するのでした。